前のページにもどる

「上手い人はどんな練習をしているのだろう…?」
テニスの練習には様々観点があります。
例えば、

技術系⇒主にボールを打つ練習
体力系⇒スタミナ、俊敏性、筋力
判断系⇒状況把握、観察力、予測力
メンタル⇒あらゆる場面の心の持ち方
その他⇒例えば休息も練習の一つ

②~④は、トレーニングと言ったほうがしっくりきますが、広くとらえるとテニスの練習になります。
本ページでは①の技術系をメインに紹介します。

1.練習の基本構成について

一般的に練習時間は週1~2回と限りがあります。
その中で上達するための練習メニューを効率的に行うためには、まず練習の基本構成について理解が大切です。
なぜなら、この基本構成を理解していないと貴重な練習時間を無駄にしてしまうからです。
基本構成は単純で「①アップ→②テーマ練習→③ゲーム練習」となります。
ここでは練習の基本構成を理解し、上達メニューを効率的に実施する考え方について紹介します。

1.1 基本構成の考え方

 2時間コートが取れた場合の練習の基本構成は「①アップ → ②テーマ練習 → ③ゲーム練習」となります。

それぞれの目的は、

と、私は考えているのですが、どうしてもアップ時にテーマ練習思考が入り、アップ時間が長くなるのが世の中の常ですね・・・

1.2 貴重な練習時間を無駄にしないために

 テニスの練習は基本2時間単位ですが、意外と2時間はすぐ経過し、毎度同じ練習になりがちです。
以下、陥りやすい”あるあるパターン”です。

●テーマ練習がラリーとボレスト程度となる
 →最後のゲーム時間を考慮すると多くのメニューができない

※アップが長くなるのは大変気持ちは分かります。私も年齢を重ねるほどアップ時間が必要となってきています・・・(´ㅂ`; )

アップもしっかりやりたい、ゲームも楽しくたくさんやりたい! というのも全然いいと思います。
ただし、上達するためには質の良い練習を継続的に実施することが大切です。
そのためには練習の効率化を図り、特にテーマ練習を充実させることが重要なのです。

1.3 効率的な練習に向けた改善策

「上達するために=テーマ練習の充実」というお話をさせていただきました。(これが全てではありませんが一つの観点として・・・)
そのためには前後のアップとゲーム練の効率化が必要となるため、以下にその改善策を紹介します。

アップの考え方を今一度心に刻みましょう!(体の暖め、打感確認)
●コートに入る前に準備体操をしっかり済ませる
(というのを、できればメンバー全員で共有しておく)
※テニスオフ等で初めて一緒にテニスする人や、ナイター練で会社帰りにギリギリ来る人には難しいですが…
●アップは15分にしましょう! とメンバー内で意識共有
 →これはメンバー全員が本ページの「1.1 基本構成の考え方」の①~③を理解いただければ共感いただけるかと思います。
●15分の内訳「ミニラリー2分」→「ロングラリー5分」→「ボレストスマッシュ3分×2名=6分」→「サーブ/リターン2分」
 →これをリーダーが時間計測し、ミニラリー2分が終わったら「はい、次ロングラリーでーす!」と全員に声掛けすることにより全体で時間の統制がとれます。
●結果、多少のずれも考慮すると開始20分後ぐらいにはアップが完了していることでしょう!

 2時間の練習でゲーム練は、だいたいラスト45分~1時間前から開始するのではないでしょうか?
メンバ6人の場合、ダブルス4ゲーム(1人1回サービスゲームで回す方式)でローテーションすることが多いのではないでしょうか・・・
ゲーム練の時間に関しては、今まで1時間使っていたのであれば45分、45分であれば30分に減らすと割り切るしかないかと思います。
ただし、6人4ゲーム方式の場合、6人が均等にゲームに参加するためには、やはり1時間はみておく必要があります。
●1ゲーム平均:5分想定 → 4ゲーム=20分
●6人が均等にゲームに参加するためには → 3マッチ×20分=60分 (1人2試合出場)
そう考えると、
●45分に短縮した場合:1マッチ15分
 
→10ポイントタイブレイクマッチ

●30分に短縮した場合:1マッチ10分
 →7ポイントタイブレイクマッチ
を1人2マッチ実施するという形式になります。

●タイブレイクマッチは、サーブとリターンが頻繁に入れ替わり4人が短時間でまんべんなく打てる
勝敗が必ず決まるのでゲームをやった感は4ゲーム方式より高い(4ゲーム方式は2対2で終わることもあるため)

●タイブレイク方式は、ペアと交互に2ポイントずつサーブを打つため、自分のサービスゲームの課題が把握しづらい。(4ゲーム方式の方が、サービス1ゲームを自分1人で実施するため、自分のサービスゲームの課題を把握しやすい)

改善結果としてテーマ練習に時間が取れた場合、何を実施するかは「2.上達する練習メニュー5選」を参考にしてください。

2.上達する練習メニュー5選

練習メニューには以下の3つ観点があります。

練習メニューはたくさんあり、人により長所、短所、引き出しの数に差があるため、どんな練習でも各自この3つを意識することが大切です。
また、上達のためのもう一つの重要ポイントとして練習時の目標設定があります。

例えば、ただラリーを打ち合うだけより、
「10回続けよう!」
と目標設定すると集中力もアップし、10回続けることが体に定着し安定感へとつながります。

また、球出し練習で漠然とコースを狙って打つよりも、コーン等の目標物を置いて
「あれに当てよう!」
と目標を設定すると、これまた集中力がアップし、ショットの精度向上につながります。

目標は、今の自分のレベルより少し上を設定することで技術が向上します。
反復練習でこの技術が定着することで無意識にそのプレーができるようになってきます。

(意識しないとそのプレーができないということは、まだまだ体に染みついておらず、打つときに力が入りミスにもつながるため、無意識にそのプレーが出るように体に染みつける必要があります)

逆にその日に目標達成できなかったとしても、自分の具体的な課題が明確となり、次の練習に向けたモチベーションアップにもつながるでしょう。
是非、各練習メニューに対して何かしらの目標を設定しましょう!

2.1 ボレスト版クロスラリー

●4人でラリーを続け、2人は順番待ち。(時間でローテーション)
●原則ミスをしないで続ける(上級者は決めショットも可)

●12分(片サイド):2分でローテーションすると2分×6人=12分

●全員目標:①→④→②→⑤→①のラリーを5回続ける
●①ブタ目標:クロスラリーでアレーを狙う
●④ブタ目標:②ブタにフォアボレー、バックボレー両方打たせるようにコースを狙う
●②ブタ目標:相手の前衛に返すことからネットしがちになるためネットしない
●⑤ブタ目標:反応時間が短いことからミスしやすい位置のため、とにかく①ブタにしっかり返す

●①ブタも前衛位置につき、④ブタのみストロークもあり
●②ブタが後衛に下がり⑤ブタのみ前衛にするのもあり
●①ブタが前衛位置につき、⑤ブタが後衛に下がるのもあり
●④ブタから②ブタへのショットをロブ縛りにして、②ブタはスマッシュで⑤ブタに返すのもあり。(⑤ブタの難易度が上がるがダブルスでよくあるシーンです)

2.2 サーブ/リターン強化練習

●ファースト、セカンドともサーブのコースの打ち分けができるようにする
リターンのコースを打ち分けられるようにする
(一般的にリターンの練習機会は少ないため、練習で球数を打つことが重要)

●3人(①⑤⑥ブタ)でサーブを順番に打つ
●1人(②ブタ)がサーバ側の前衛
●1人(③ブタ)がリターン
●1人(④ブタ)が球拾い
●サーバーは1回サーブが入ったら他のサーバーと交代
●リターンはクロスとストレートを交互に打つのが理想(①ブタのサーブをクロスに打ったら、次はストレートに打つ等)
【ポイント】リターン練習はついついクロスに返す練習が多くなり、ストレートリターンの練習が少なくなります。ですので練習ではあえてストレートリターン練習の打数を多く打つ意識で練習すると、試合での成功確率もアップします!
●クロスに返したリターンはラリーを続けない
●②ブタはリターンがストレートに来た時にクロスにボレーを打つ
●④ブタは②ブタが打ったボールを拾いサーバーに返す
●時間が来たら自分より上の番号のブタの位置にローテーション
●リターンを1人片サイドのみ(いつも実施しているサイド限定)にする場合は、サーバ側は1人複数回打つ、両サイド実施する場合は、各サイドのサーバーを1周りにする等で時間短縮を考慮

●12分(片サイド):サーブの入り具合で時間は変更するが、概ねサーブ1周1分で換算(1分×2週×6人=12分)

●サーバー:ファーストサーブで狙ったコースに打ち、リターンミスを取る
●サーバー:セカンドサーブもセンター、ワイドに打ち分ける
●リターン:ショートクロスでアレーの浅いコースを狙う(リターンのノータッチエース狙い)
●リターン:トップスピンロブで前衛を抜いてみる(これもリターンのノータッチエース狙い)

●サーバ2人、前衛2人にして、前衛はサーバ2人が一回りしたら交代もあり
●④ブタもリターンに入り、リターン2人で回すのもあり(ボール拾いが必要ない場合)

2.3 スマッシュvsロブ強化練習

●普段比較的練習量の少ないスマッシュの練習
●相手が二人下がっているときに決められるスマッシュの練習
●ロブ側も決められない高さ、深いロブの練習

●スマッシュ:2人、ロブ上げ:2人、ボール拾い:2人
●ロブ上げは、どちらに上げてもOK
※1球目は特別深いロブにならないように配慮する。
●スマッシュも、どのコースに打ってもOK
●制限時間内にスマッシュ側のペアの決めポイント、ミスポイントをカウントする
●時間が来たら自分より上の番号のブタの位置にローテーション

●12分:一つの位置2分×6人=12分

●スマッシュ側:3本以内に決める
●スマッシュ側:時間内に10点以上決める
●スマッシュ側:④ブタの位置からはスマッシュでショートアングルを狙ってみる
(いくら強いスマッシュを打っても決められないときに有効!)
●スマッシュ側:低いロブが来たらドライブボレーで決める
●ロブ側:スマッシュ側有利のため、ミスポイントが上回るように頑張る!

●ロブ側がたまに付き球を混ぜてスマッシュ側にボレーさせるのもあり
●スマッシュではなく、全てドライブボレーにするのもあり

2.4 ボレーvsボレー強化練習

●ボレーボレー戦に強くなる練習
●相手が二人前衛にいるときに決められる練習

●①ブタだけ最初後ろからスタートで、④ブタが短いボールを①ブタに出す。
●①ブタは④ブタが無理なく返球できる程度のボールを打って前に出る。
※①ブタが前に行く最初の球はスライス等の緩い球がベター
●そこから2対2のボレー戦で、最終的には赤い矢印のコースに決められるとBEST!
●ボールが浮くと相手にバシッと決められるため、なるべくネットすれすれで打ち合う。
●かといってネットすれすれを狙い過ぎてネットミスしないように打ち合うのがポイント。

●12分:一つの位置2分×6人=12分

●①ブタだけが初動で動くため、前に出た後の最初のボレーをミスしないようにする
●各自、ネットミスだけはしないように頑張る
●威力に頼らずコースで相手を抜けるようにする
●直線的なコースで抜くのは比較的パワーに頼り勝ちになるため、一度アングルで相手の陣形を崩してから空いたコースを抜いてみる
●たまにロブボレーで抜いてみる

●①ブタが最初に前に行くために打つ球を強く打って④ブタの初球のボレーの難易度を上げるのもあり
●最初に後ろからスタートするのを①ブタと②ブタを交互に実施するのもあり。そうするとバックサイド側も一気にできるので時間短縮になります。
●ボレーでネットミスをしたら、控えメンバーと即交代する方式もあり。そうするとネットミスしない集中力がアップします。

2.5 ポーチ強化練習

ポーチのタイミングをつかむ練習
●ポーチで素早く動いてボレーを打つというシーンの練習
ポーチボレーの打つコースの練習

●①⑥ブタ2名で交互にサーブを打ち、リターンはクロスに返すルールとする。
※リターンが返らないと練習にならないため、サーブは相手がリターンできる程度に力を調整すること。
●②ブタはリターンを狙ってポーチに出るか、その次のラリーでポーチに出る。
※あまりラリーを続けると時間がなくなるのでポーチは1球目か2球目とする。
●ポーチ練は②③ブタ2名で交代で実施。

●12分:一つの位置2分×6人=12分

●相手に触られないようなエースで決まるポーチボレーのコースを狙う
前衛のいない方向にアングルドロップボレーでエースを狙う
●相手のリターンの打つタイミングとポーチの動き出しタイミングはギリギリを狙う
(早く動き過ぎると試合ではリターンでストレートに打たれるため)

●②ブタがリターンでポーチに出られなかった場合、次に①ブタから返ってくるストロークを⑤ブタがポーチに出ていいルールにするのもあり
●リターンのコースを自由とし(ただしロブなし)、リターン対ポーチでポイント勝負するのもあり
例えば、リターンが相手コートに返ったらリターン側1ポイント、ポーチボレーでリターンをカットできたらポーチ側1ポイントで4ポイント先取勝負 等

3. アップ時間短縮のためのちょっとした工夫

アップの目的は「怪我予防のために体をあたため、かつ、各ショット(ストローク、ボレー、スマッシュ)の打感を確認する」です。
【注意】くどい様ですがアップにテーマ練習の目的をダブらせて長時間実施しないよう心がけましょう!
一般的にアップは縦(ストレート)で打ち合い、ミニラリー、ロングラリー、ボレスト、スマッシュで終わると思います。
アップは全員一斉に実施するため、特に6人で一斉にコートに入ると(縦に3列で入ると)隣にボールがそれて迷惑をかけてしまうし、危険な場合もあります。仕方ないのですが、この辺りを考慮したメニューを紹介します。

3.1 工夫1:6人ミニラリー(ロングラリーでも使えます)

3列で縦に3ペア入ります。真ん中でやるペアは普通に実施してください。
両サイドでやるペアはアレー内で打ち合うイメージで1人がフォア、1人がバックのみで打ち合います。
これにより、二人とも体がコートの外側に出るため、真ん中の人のスペースに余裕ができます
ミニラリー予定時間の半分が経過したら、場所を交代して最初にフォアを打っていて人がバック、バックを打っていた人がフォアを打ちます。
ミニラリーでスペースを広く使う工夫のメニューです

3.2 工夫2:4人ミニラリー(ロングラリーでも使えます)

2列で縦に2ペア入ります。
通常は、相手のフォア側、バック側にボールを打ち分けて両方の打感をミニラリーで確認します。
これをボールはあえて相手のボディーを狙って打ち、打たれた側は体を左右に動かしてフォアとバックを交互に打ちます
フォアバック交互に打つという縛りを課すことで、体を動かすことが必須となり、体の暖めを加速することができるメニューです。
また、フォアとバックを均等に打つことになることもメリットです。
(テニスの更なるレベルアップ「5.各ショット均等練習」の考えでもありますので、そちらもご参照ください)

3.3 工夫3:6人ボレスト

3列で縦に3ペア入ります。陣形としては、まずは両サイドのペアの奥側の人がボレーに出ます。
真ん中のペアは、反対側の手前側の人がボレーに出ます。これによりジグザグ形態となり付き球を打つ人は隣にスペースができるます
時間でボレーとストロークを交代しても向きが逆になるだけで同じジグザグ形態となります。
ボレストはストローク側のほうがスペースを必要とするため、このような工夫が効果的です。

4.まとめ

①練習の基本構成を理解し、アップとゲーム練習の効率化を図り、上達のためのテーマ練習を充実させる

②練習メニューは、自分の「長所を伸ばす」「短所を補う」「引き出しを増やす」ことを念頭に実施する。

③各練習メニューにおいて、自分のレベルより少し上の目標を設定して取り組む。

以下、テニス上達に向けた練習方法に関するアフィリエイト商品です。興味のある方はご参考まで…。

ジュニアテニス上達革命~全国大会優勝・ベスト4以上の選手が実践する練習内容と選手育成術~【テニスサンライズ朝露ヘッドコーチ 佐久間崇弘 指導・監修】 神谷流テニス最速上達法 テニス・ダブルス上達革命~ダブルス特化の練習法・指導法~【全日本テニス選手権 ダブルス優勝 佐藤博康 監修】DVD2枚組

前のページにもどる